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好調だったストレージベンダーの2005年2005年は40%のリセラーが計画を上回る業績を上げ、また90%が2006年の年間成長率を5%以上と予測している。
2006年のストレージ市場は堅調――アナリストらが予測Robert W. Bairdのアナリストらは、来年のストレージ市場の状況は堅調なものになると予想している。来年の支出分野として優先度が高かったのは、セキュリティ、ストレージ、サーバ/ストレージ統合、ディザスタリカバリ/バックアップだった。
–>ストレージ・グリッドへの期待米HP シニアテクノロジストのアボット・シンドラー氏
Hewlett-Packard(HP)StorageWorksディビジョンでは、今後数年間の顧客ニーズを考えた変革を推進している。HPは「Adaptive Enterprise」というコンセプトを2年前に打ち出し、柔軟性に富む新しいIT環境の実現に取り組んできた。「StorageWorks Grid」はその一環と位置付けられるものだ。
現在、顧客にとって、異なるITシステムすべてがインフラとして正しく連携する環境を整えることが最大の課題だ。そのため、ストレージインフラにも強い関心を持っている。しかし、今後を考えるとこうした状況は変化するだろう。今後3年ほどでインフラ自体への関心は薄れ、顧客は「アプリケーションを理解し、ビジネスの要件を理解するIT環境の整備」へとシフトしていくことになると予想されるからだ。
これに応じて、ストレージインフラの課題は「安定したインフラの構築」から「ビジネス継続性」「コンプライアンス対応」「セキュリティ」などへと重点が移っていく。つまり、コストと安定性を重視した階層化ストレージや管理ソフトの導入、デバイスやイベントの可視化、デバイスの統合などといったところから、一歩先に進んだ仮想化や統一化、自動化の実現に向けて取り組んでいくものと考えられる。現在のトレンドである情報ライフサイクル管理(ILM)への対応強化はこの段階をにらんだものと言える。
オーバープロビジョニングを引き起こしてきた理由
ストレージの流れは近年、DAS(Direct Attached Storage)からSAN(Storage Area Network)へと移行してきた。また、ストレージのユーティリティ化、仮想化の機能も発展してきている。しかしその一方で、即応力と効率という点ではまだ問題が残されている。
これは、現在のストレージシステムの機能と容量が密接に関連していることが原因だ。例えば、20Gバイト程度の容量に対して高い保護レベルを実現しようとすると、必然的に大容量のストレージを使わざるを得ない。20Gバイトという容量は1基のHDDを使い切るデータ量でないにもかかわらず、完全な可用性と最高レベルのパフォーマンスを実現しようとすれば、100%の冗長性を備える大規模ストレージアレイを導入するしか取り得る手がない。明らかなオーバープロビジョニング(割り当て過ぎの状態)が発生し、コスト面で非常に無駄が生じているのだ。
優秀なIT担当者なら、すべてのストレージデバイスを大規模なSANアレイに統合することで、この問題を解決するかもしれない。しかし、変化の激しい現在では、新しいストレージシステムの運用を開始した翌週に、突然NASストレージが必要になることもある。現状では、別途NASストレージデバイスを購入してシステムに追加するか、SANアレイの前段にNASインターフェイスを追加するか、どちらかの手段を検討することになる。しかし、このようなやり方では効率が下がってしまう。もっと柔軟に既存のシステムに機能を追加する方法が必要だ。
この問題に対するキーとなるのが、サービス指向型で単一システムを柔軟にスケールアウトできるストレージシステム、つまり「ストレージ・グリッド」であるとHPでは考えている。
ストレージの新アーキテクチャー「StorageWorks Grid」が実現するもの
われわれが作り出そうとしているのは、従来は存在していなかった新しいシステムと言える。ストレージシステムではあるが、インテリジェンスと機能性を備え、自動化や自律性を確保する。アプリケーションが求めるサービスレベルを理解し、それに応じた動作を行なうことができる。
StorageWorks Gridの構成
このStorageWorks Gridは、「スマートセル」と呼ばれるノードで構成される。スマートセルがネットワークで接続されて、全体でグリッドを構成する仕組みだ。スマートセルにはHDDなどのストレージデバイスに加え、プロセッサやメモリ、I/Oプロセッサなどが含まれる。実態としては、ディスク内蔵型のラックマウント型サーバそのものだと考えると分かりやすい。スマートセル上でソフトウェアを実行することで、用途に応じたさまざまな機能を実装させて柔軟な運用・拡張を行える。
まず拡張性におけるStorageWorks Gridのメリットは、必要なときに、必要な要素だけを柔軟に追加できる点にある。先ほども言及したが、現在のストレージデバイスでは、容量拡大のために新たなデバイスを追加すると、たとえ機能の一部しか必要なかったとしても、そこに備わるすべての機能を追加する結果になる。単に容量だけが必要な場合でも、新たなストレージを導入すればパフォーマンスや接続性も同時に導入され、それらに関するコストを支払うことになる。あるいは、1Gbpsのバンド幅が欲しいだけだとする。このためにアレイコントローラを導入すれば、同時に容量も付いてきて、可用性も向上する。当然、その容量や可用性に対するコストを支払うことになる。現在は、さまざまな機能を含む「パッケージ」単位でしか拡張できない。
そStorageWorks Gridでは、スマートセルに必要な機能を追加することで、必要とする機能だけを柔軟に追加する拡張性を実現できる。さらに、システム管理の際にアプリケーションを停止せずに済むようにしたい。
いち早くこのストレージ・グリッドのコンセプトを製品化したRISS(Reference Information Storage System)は、「Microsoft Exchange」に対応した製品だ。Exchangeで電子メールを管理する場合、メッセージ数が増大すると、それにつれてメッセージの検索や抽出に長い時間がかかる。だが、RISSでは検索機能だけを拡張することで、メッセージ数が増えても、少ない場合と同様に短時間で検索が完了する。
このように、アプリケーションとストレージの連携をより密にしていくことも必要だと考えている。現在RDBMSはストレージとしてRAWデバイスを利用するが、ストレージが提供しているのは実際にはブロックデバイスである。こうした不整合もなくしていきたい。
ストレージ・グリッドの未来
今後の拡張計画のうちの大きな要素を占めるのは、管理ソフトウェアになる。ソフトウェアによって、1つのStorageWorks Grid上に仮想アレイ、仮想テープライブラリ、仮想NASなど、さまざま機能を統合して単一システムとして提供できるようにしたいと考えている。また、階層化ストレージやポリシーベースの管理、バックアップ/リストアやスナップショット作成など、さまざまな運用管理作業にも対応する予定だ。これら機能を統合したStorageWorks Gridは当然、既に設けられたSANに接続して利用できる。つまり、既存のSANへの投資は保護しながら、新たに必要となった機能を柔軟に追加できるものになる。
HP ストレージ・グリッドのロードマップ
さらに、管理者が設定したポリシーに従って、アプリケーションに対してサービスレベルを保証することも可能にしていく。これには、パフォーマンスの保証だけでなく、バックアップ/リストアの際の復旧時点/復旧時間の設定などが含まれる。システムは、管理者の設定したポリシーに従って自動的にサービスレベルを作成/調整して適用できるようになるのだ。また、グリッドを構成するスマートセルのプロセッサをアップグレードすることで機能強化を行ったり、他社製品を含む既存のストレージアレイをグリッドの中に取り込み、統一的に管理できるようにすることも考えている。これに関しては、3年後をめどにして開発に取り組んでいる。
これらは、アプリケーションやそれを利用するユーザーがどのような形でサービスを使おうとしているのか、を理解した上で適切なサービスを提供するというサービス指向アーキテクチャー(SOA)の考え方に基づいている。SOAの発想はいずれストレージにも持ち込まれ、ストレージにおいても提供するサービスの質に注目が集まることになると考えている。
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